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ADHD(注意欠陥多動性障害)って何?

現代、子供だけに限らず大人にも症状があるADHD(注意欠陥多動性障害)は、落ち着きがなく忘れ物が多い。また、順番を待てない等と困った行動がある人の事をいいます。特に、子供の場合は「担任の先生にも言われて病院へ連れてきました」という保護者も多くいます。そこで、今回はADHD(注意欠陥多動性障害)という症状をご紹介させていただきます。

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ADHD(注意欠陥多動性障害)の歴史

子育てをしていたり、身近に子供と接している人には理解していただけると思いますが、子供は本来落ち着きがなく、様々な物に興味を示し行動します。そのため、一人での行動を見てもそれぞれが度を超えた行き過ぎた行動をしているかどうかの判断に困ることがあります。よく、昔から、特に落ち着きのない子供はクラスの中に一人や二人居ることも気づかれていました。集団授業の教育を早期に取り入れていたイギリスでは、子供の「多動」は大脳皮質の機能障害が脳炎の後遺症で、多動症状を呈することが関連づけられてきていました。

一方、日本では1960年に小児神経科医の間で、微細脳障害(MBD)という診断が、多くの子供につけられました。この中に、多動の症状や、学習障害、細かな手先の運動が上手くできない協調運動障害などがふくまれました。この多岐にわたる症状を含むMBDとういう疾患概念使われることがなくなり、ADHD(注意欠陥多動性障害)という診断に変わっていくことになりました。

ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断基準

ADHD(注意欠陥多動性障害)の歴史の中で、多動に関して作られた「精神疾患の診断と統計マニュアル」が用いられていることが多く、診断に際しては、診察室だけでの評価では不十分で、家庭や学校での様子を調査することも必要とされています。不注意や多動性、衝動性など3つのタイプに分類されます。

  • 不注意優勢型
  • 多動性・衝動性優勢型
  • 混合型

最も多いタイプでは混合型で、次に不注意優勢型そして多動性・衝動性優勢型となっています。

ADHDの発生する男女の差は、男4:女1と圧倒的に男子に多いとされています。特に混合型、多動性・衝動性優勢型では男子が多いのですが、不注意優勢型に関しては男女差はほとんど見られないとされています。

DSM-Ⅳによる注意欠陥/多動性障害の診断基準

DSM-Ⅳによる注意欠陥/多動性障害の診断基準

A.(1)か(2)のどちらか:
(1)以下の不注意の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくても6ヵ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に適応しないもの

不注意

  • 学業、仕事、またはその他の活動において、しばしば綿密に注意することができない。または、不注意な過ちをおかす
  • 課題または遊びの活動で、注意を持続することがしばしば困難である
  • 直接話しかけられた時、しばしば聞いていないように見える
  • しばしば指示に従えず、学業、用事、または職場での義務をやり遂げることができない(反抗的な行動または指示を理解できないためではなく)
  • 課題や活動の順序立てることがしばしば困難である
  • 学業や宿題のような、精神的努力の持続を要する課題に従事することをしばしば避ける。嫌う、またはいやいや行う
  • (例えばおもちゃや、学校の宿題、鉛筆、本、道具など)課題や活動に必要な物をしばしばなくす
  • しばしば外からの刺激によって容易に注意をそらされる
  • しばしば毎日の活動を忘れてしまう

(2)以下の多動性・衝動性の症状のうち6つ(またはそれ以上)が少なくとも6ヵ月以上続いたことがあり、その程度は不適応的で、発達の水準に相応しない

多動性

  • しばしば手足をそわそわと動かし、またはイスの上でもじもじする
  • しばしば教室や、その他、座っていることを要求される状況でも席を離れる
  • しばしば、不適切な状況で、余計に走り回ったり高い所へ上がったりする(青年または成人では落ち着かない感じの自覚のみに限られる)
  • しばしば静かに遊んだり、余暇活動につくことができない
  • しばしば”じっとしていない”またはまるで”エンジンで動かされる”ように行動する
  • しばしば喋りすぎる

衝動性

  • しばしば質問が終わる前にだし抜けに答えてしまう
  • しばしば順番を待つことが困難である
  • しばしば他人を妨害し、邪魔する(例えば、会話やゲームに干渉する)

B.多動性・衝動性または不注意の症状のいくつかが7歳未満に存在し、障害を引き起こしている

C.これらの症状による障害が2つ以上の状況において(例えば、学校または仕事、と家庭)存在する

D.社会的、学業的または職業的機能において、臨床的に著しい障害が存在するという明確な証拠が存在しなければならない

E.その症状は、広汎性発達障害、統合失調症、またはその他の精神病性障害の経過中のみ起こるものではなく、他の精神疾患(気分障害、不安障害、解離性障害、または人格障害)ではうまく説明されない。

※しばしばという表現については、日常生活に著しい困難を引き起こす程度のこと

鑑別診断

鑑別診断
  1. 通常の発達段階での多動
    就学前の幼児の多動は、経験豊かな保育士にとっては、通常の発達かどうかの区別が可能です。成長とともに目立たなくなります。
  2. 不適切な環境による多動
    不適切な環境が解除されると多動が改善されます
  3. 知的障害に基づく多動
  4. 広汎性発達障害(自閉症を含む)に基づく多動
    コミュニケーションの問題や、常同的行動を伴うことなど、多動以外の症状がみられます。しかし近年、DSMでは鑑別疾患とされている広汎性発達障害とADHDが並存していることを示すさまざまな報告がされており、診断上問題とされています
  5. 学習障害(LD)
    LDとADHDは異なりますが、ADHDの90%にLDを合併する、また反対にLDの50%にADHDを合併するといわれています
  6. その他、てんかん、行為障害などに基づく多動など

ADHD(注意欠陥多動性障害)の治療

まず、第一に考えなければならないことは「何のために、誰のために治療するか」ということです。子供の扱いに手をやいている親や教師のための治療ではありません。扱いやすい子供にするためでもありません。ADHD(注意欠陥多動性障害)を持つ子供は、その行動特性から、家庭や学校、または社会から非難や叱責を受けることが多くあります。そのため、自尊感情が低くなりやすく、反抗性障害や行為障害といった二次障害を生じやすいといわれています。自分の良い所をみつけて伸ばすし、より良い日常生活が送れるようになることがADHDの治療の目的です。

ADHDの治療方法

ADHDの症状軽減に極めて有効な、中枢神経刺激剤の一つに、メチルフェニデート(商品名リタリン)があります。最も有効性・安全性が確立しています。吸収性が速く、排泄も速いため、有効血中濃度維持は3時間から4時間と短く服用時間も短いです。ですが、リタリンを服用した子供の約80%から90%に多動、注意持続時間、衝動性などの改善が認められたという報告もあります

副作用

このように有効なリタリンですが、その副作用も多くあります。リタリンの副作用については、不眠、頭痛、食欲不振が主なものです。また死亡例として、リタリンが無関係とはいえない不整脈も報告されています。

まとめ

ADHDの子供の数に対して、現在治療が受けられる施設はまだまだ少なく、ほんの一握りです。専門病院の指導のもと、家庭と家族、学校などの教育の場と、それに伴い地域の医療機関の連携が求められるものだと思います。

 

Posted by neko